新入社員を確保したいとの意向がにじむ

中小企業各社に賃上げを決断させたのは深刻な人手不足だ。
食品スーパーの原信はベア5337円の労組の要求に対し、1260円で妥結。
昨年を760円上回る額で応えたのは、「経営は厳しいが社員の定着や人材確保のため」と話す。
ゴム薬品の川口化学工業は昨年と同水準の500円のベアを決めた。
大企業で高水準のベアが相次ぎ、ベア実施を決める同規模の同業者も多い中、「賃金で他社と差が広がらないようにし、従業員の士気を高める」狙いだ。
人手不足の影響はパートの時給にも及んでいる。
パートの賃上げ額は時給17.6円と前年から5.6円積み増した。
１カ月（165時間勤務）に換算すると、2904円の賃上げになる。
ホームセンターのＬＩＸＩＬビバは社員の８割を占めるパートのベアを実施した。
時給８円増と昨年（７円増）より増やした。渡辺修社長は「個人消費は落ち込んだままだが、デフレ脱却に貢献したい」と説明する。
初任給の引き上げにも積極的だ。
平均初任給（単純平均）は高卒が16万3898円、大卒が19万8614円とともに3000円前後引き上げた。
初任給の引き上げは中長期の負担増につながるが、労働人口が減少するなか新入社員を確保したいとの意向がにじむ。
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